うちでは家族や患者さんには、少々の風邪は極力自力で治すよう指導しています。
我が家では、家族が風邪で病院に行ったのは長男が小さい頃、まだ自分の治療技術に自信が持てなかった頃に2、3度連れて行っただけで、かれこれ20年以上誰も風邪で病院に行っていません。
長女や次女も、とりわけ身体が丈夫な方ではありませんが、骨折や盲腸の時以外、病院に行ったことがありません。
では、どうやって、風邪を治してきたのかご紹介していきましょう。当院に通院されて-いる方は、復習のつもりで読んでください。
① まずは睡眠時間を確保する努力をしてください。睡眠中は自身の全てのエネルギーを病気を治すことに集中できますのでもっとも大事な治療法です。
② 中から身体を温めて下さい。
冷たい飲食を避け、体温に近いあるいはそれ以上の温度のものを食べる。
また、ほうじ茶、番茶、紅茶は身体を温めますのでお勧めです。緑茶は健康時に飲むと、ビタミンCの補給になりますが、体力が落ちている時は胃に負担がかかるので不適です。麦茶は夏の風物詩であることからわかるように身体を冷やします。コーヒーもあまりお勧めできません。
生姜やシナモンを紅茶や料理に入れるのは温補作用がありますのでお勧めです。
特に、咳や寒気には寝る前の生姜湯がよく効きます。ただし摂りすぎたり、甘すぎるのはNG。胃に負担がかかります。
ねぎが風邪によく効くのは有名な話ですね。迷信ではなく、とても効果的です。
③ 外から身体を温めて下さい。
まず一番いいのはお風呂です。39度あっても基本的には大丈夫です。半身浴で下半身を温め、上半身に偏った熱を下半身へ下げます。発汗するまで入る必要はありません。上半身が温まり始めたらOKです。あとは暖かくして寝て下さい。寝ている間に発汗できれば効果的です。ただし、寒気がして服を脱ぐのも嫌という時は、入浴は避けて下さい。うまく行く時もありますが、まだ症状がピ-クに向かっている可能性があります。諦めてゆっくり休んでください。
また、どうしても仕事がある時は、風邪薬の力を借りつつ、お出かけ前に上記の方法で入浴していくと、4~5時間はなんとか仕事をこなせるでしょう。
④ 食べたくない時は食べない。食べたくなったら食べる。
食べたくない時は胃腸がやる気を出していません。無理に働かせない方が無難です。やれヨーグルトだ、プリンだなどとなんとか食べさせようとする人がいらっしゃいますが、むしろそれでは治りが遅くなります。食べたくなるまで、何も食べない方が、消化する為のエネルギーを治癒力に回せます。
お腹が空いたら、どうぞ、お好きなものを食べて下さい。いつもより、美味しく頂けるはずです。
水分は、上記で書いたようなお茶や白湯が効果的です。
このような方法で、まずは発汗して自力で解熱することを考えてみて下さい。発熱するのは、身体がウイルスを焼き殺そうとしているからです。多くの新薬は、血液を冷やして解熱しますから、生き残ったウイルスが増殖して何度も体温の上下動を繰り返し、かえって長引きかねません。
また、神経を麻痺させて痛みや不快感を出させないようにするために、麻薬様物質を使用しています。咳や痰、喉痛やいがいが、嗅覚、味覚消失、鼻炎症状が長期に残るのは、後遺症などではなく、菌を自分の力で退治できておらず、何度もぶり返しているからです。
よその国から連れてきた軍隊(薬)が敵(ウイルス)をやっつけてくれるのが当たり前になると、自分の国の軍隊(自己免疫)は、やることがないのでだんだん弱体化して、どんどん軟弱な体質になってしまいます。
敵が極端に強力(症状が激しい)だったり、こういった方法でどうしても治りきらない時に、サポートとして薬を使うというのが効果的だと思います。
ただし、レアケースですが、風邪だと思っていたのが実は非常に重篤な病気だったということもありますから、これらの方法でやっても3日間以上39度の熱が下がらなかったら躊躇なく、病院で受診して下さい。
なお、ここでご紹介した方法はあくまでも臨床経験からの私見であり、大まかな自己管理の例です。他に持病をお持ちの方や体力の低下した方には適さないことがありますので、あくまでもよく経過を観察しながら行ってください。