咳、痰、喘息、喘鳴、咳喘息について

東洋医学では、咳や痰、喘息の大きな原因のひとつに、湿邪つまり水分代謝を挙げています。誤解のないように書いておきますが、気管や上気道が乾いてしまって咳が出たり、喘息になったりすることもありますのでご注意を。

 

 水分代謝が苦手な体質の人は、湿度が高く、ムシムシしたこの時期、余った水分が身体の中で悪さをします。そのひとつの病症が胸で起こったものが喘息であり、咳なのです。高温多湿の日本では、一見、汗をかいているように感じますが、じつは、体表に汗がへばりついたまま、なかなか蒸発しないので水分が外へ逃げていきません。高温でも、カラッとしていれば、汗はすぐに蒸発するので、あとからあとから出てきます。ですから、そういう時は水分補給は多めがよいのです。ですが、日本のような高温多湿の気候で、水分を取りすぎると、余った水分が体内で悪さをします。そのひとつが喘息、咳、痰なのです。

 

ちなみに他のところで悪さをすると、上の方では耳鳴、突発性難聴、めまい、花粉症、肺炎、心臓疾患など。体幹や内臓、もっと下の方ではリューマチやヘバーデン、ブシャール結節、膀胱炎、痛風、腎臓病など。ぎっくり腰、腰痛、リューマチ、膝関節痛、股関節痛、浮腫などでしょうか。

 

次に、咳や喘息についてのお話をします。

  胸に溜まった余分な水は、この時期、体温が上がりがちなので、余分な水分が温められてドロドロになってきます。これが痰です。この痰を、外に排出する方法は3つあって、ひとつは痰として口から、ふたつ目は、喉から胃の方へ流れて自然に消化物と一緒に出ます。赤ちゃんがたまに透明な吐瀉物を吐くのは、この痰を排出する自然現象で、自力で、呼吸器疾患を起こさないよう頑張っている証拠です。大人でも、酒の飲み過ぎでドロッとした粘性の高いものを嘔吐するのもこれに近いです。そしてもう一つは咳です。咳をすることで早く痰を排出しようとしているのです。この方法は、緊急処置ですから、結構、身体にとって不都合であることを意味しています。

治療方法としては、薬で強制的に止めようとすると、痰が残りますので、一緒に去痰剤を使うことになります。この作業を自力でやる努力をしないと、咳はひどく長引くことがあります。場合によっては、慢性の喘息やCOPDになることもあります。

 

コロナ以降、人前で咳をすると冷たい視線とともに一瞬、緊張感が走ります。それもあって、咳が出るといっては、すぐに薬を飲む人が増えています。当院の患者さんでも、しばらく薬を飲んでいるのに、咳が止まらないと言ってくるケースが増えています。 

しかし、よく診てみると、ウイルス性もアレルギー性もあまり関係なく、咳止め薬や去痰剤が処方されているようです。

ところが、これらの薬は、とりあえず麻薬系物質で神経の興奮を抑え、冷たい飲み物を飲むのと同じ原理で体を冷やして痰を剥がすという対症療法の典型です。極力副作用が出ない対策は取られているのですが、それでも、体質によって敏感な人は様々な症状が出たり、主作用より副作用が強く出たりすることがあります。また、複数の服薬がある人や、長い事飲んでいると、薬慣れしてしまい、効かなくなってしまいます。

まずは、呼吸器系のエネルギー(気)を整え、自力である程度治していける状態を作っていきたいですね。

そのためには、肺の経絡(肺を養っているエネルギー回路)を強化するとともに、全身の不調、疲労を取り除くことが肝要です。

 

 

喘息の患者さんは、昔ほど極端に症状が酷くならないにせよ、一定数いらっしゃいます。コロナ騒ぎ以降、日本でも、欧米並みに肺炎患者が増えつつあるようです。その証拠に、日本人の肺炎の死亡数は死因第5位で、年に10万人に登ります。コロナ以降、その数はもっと増えているかもしれません。また、最近では咳喘息という病名も耳にするようになりました。これは、ラッセル音と言って胸の奥がゼロゼロして、横になって寝られないというような本来の喘息とは違いますが、非常に治りが悪く、ステロイド薬に頼らざるを得ない状況のようです。咳や喘息に対して現在は、エフェドリンなどの麻薬系やステロイド以外に他にはよい手がないとも言えます。ステロイド薬は、ご存知の通り副作用が強く、白内障、ムーンフェイス、肥満、骨粗鬆症、高血圧など深刻な病気に繋がってきますので、極力使いたくないと言うのが喘息患者の本音でしょう。とくに、薬に頼って症状を抑えているだけだと、年齢を重ねていったときに、COPD、肺気腫で呼吸が逼迫し、酸素を持ち歩かなければならなくなることもあります。そうでなくても、症状が軽くはなるが一向に治らないとか、体がだるい、常に眠い、無気力などの副作用に悩まされる人も多いです。

 

そこで東洋医学、経絡治療の出番です。治療すると、必ず症状が軽減しますし、副作用が減る、ステロイドの量を減らせるなど、いいことづくめです。確かに非常に完治が難しい病気ですが、補助的な治療としてはとても優秀です。完治したという症例もたくさんあります。普段から息切れしたり息苦しい、呼吸が浅い、ため息が多い、頭がぼーっとするなどの症状がある人は、是非経絡治療を経験してみてください。