今の季節、身体がだるくなったり浮腫んだり、関節に異常を感じやすくなります。めまいや膀胱炎も増えてきます。
急性慢性を問わず、けっこう症状の重い腰痛も増えてきます。
この時期の腰痛は、筋肉の異常による症状が多く、力が入りにくく、動作開始時に痛む、腰が伸びない、腰が抜けるような感覚になります。
この時期に発症する病症は、湿邪と寒邪で起こることが多いです。
湿邪は身体の中で過剰になった水分が悪さをします。
咳なんかは、水分が熱を帯びて痰になった水分を必死に外へ出そうとして起こる現象です。
病院では、咳喘息という大げさな診断名がつきますが、右の肝経の治療であっという間に改善していくことがおおいです。
寒邪はご存知のように冷たいものの取り過ぎや、冷房などから来る冷えが原因です。特に、皮膚が汗ばんだ状態に冷気が当たると、冬に薄着している以上に身体が冷えてしまいます。
昔は夏に寒邪はあまりなかったのですが・・・
「水分たくさん取らないと熱中症になるって・・・」
こういうこと言われだしたのってここ10年なんです。
それまでは何百年もの間、水分は取り過ぎると病気になるぞと言われていました。
江戸時代の「養生訓」という有名な本にも記載があります。
水をたくさん飲みなさいというのは、大陸気候など乾燥しやすい地域で通用する考え方で、乾燥地域では、水分が不足すると、皮膚表面からどんどん水分が蒸発し、皮膚がガサガサに乾いてしまって皮膚がんになりやすく、喉や鼻の疾患も起こりやすくなります。欧米人に喘息患者が多いのはそのせいもあります。
しかし、反対に日本のような高温多湿の地域では害になることもあります。
というのも、日本の梅雨の季節では、一見汗をかいてじとっとしている場合、体内の熱を発散しているように思いますが、真夏のようには暑くないので、じわ〜っと汗をかくと表面だけすぐに冷えてしまいます。
すると体表の汗はベタッと張り付いたまま身体の表層部の熱を奪います。すると筋肉が冷えて硬くなり動作は鈍くなります。
たくさん汗をかいているようですが、実は深部の熱は発散できずにこもっている状態になります。
もっともっと発散するためには、その状態から、身体が温まるくらい動き続けるとどんどん発汗して身体が軽くなってきます。
なのでこの時期の病症は、適度の運動で改善する事が多いです。
体内に水分が滞留したままになりますと、停滞して動かない水分は冷えてむくみを生じ、筋肉や関節の動きを鈍らせます。
古傷があればそこに組織液が停留し硬くなって痛んだり重怠くなります。セルライトというお尻やもも、下腿にできる脂肪のかたまりも、実はこの停留した水分が固まったものです。
真夏でも、冷房の中で過ごすことが多くなると同様の現象が起こります。
これが腰痛や寝違え、五十肩などの関節痛を起こしやすくなる要因です。
他にも水分代謝が落ちると、肩こりや首凝りも起こりやすく、耳鳴りやめまいを引き起こしたり、水分が肌肉に溜まり、体が重く感じ、だるくなります。余分な水分が神経伝達を鈍らせ耳鳴やめまいを誘発します。
個人個人の活動量などによって必要な水分摂取量は違ってきますが、江戸時代の養生訓では一日三合〜五合と言っています。
実際に、この程度の水分摂取が夏を乗り切るのにはよいようです。
テレビやマスコミの話しを鵜呑みにせず、自分の体調と相談しながらこの時期の健康管理を心がけてみてください。